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H1

電線共同溝のはなし

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電線共同溝の移り変わり

 昭和61年頃から電線類の地中化が始まりました。国(旧建設省、国土交通省)による策定によってこれまで四期に渡って、H15年度までに延べ5100kmに渡り、全国的に実施されています。(下図参照)

電線共同溝地中化計画グラフ

 現在は、第五期として、H16年度~H20年度にかけて、およそ3000kmの電線類地中化が計画されています。

 電線類地中化の当初はキャブ方式と呼ばれる方法が採用されていました。キャブ方式は道路管理者が道路の下にU字型の構造物を埋設してその中に電線類を収容する方法です。その後、自治体や電線管理者が独自に電線類を地中化する自治体管路方式、単独管路方式が行われるようになりました。

 H8年頃からは現在に至るまで電線共同溝(C.C.BOX)方式が採用されています。 この方法では主に幅の広い歩道で実施されています。一方、幅の狭い歩道や歩道がない車道でも地中化を可能にする為、今後は次世代型の電線共同溝が考案されています。

次世代型電線共同溝

 前回の電線共同溝の移り変わりで、現在は次世代型の電線共同溝があることをお話しました。今回は従来型からどのように変ったかをお話します。

 大きな違いは、次世代型では幅の狭い歩道や歩道のない車道に設置することが可能で、非常にコンパクトになったことが挙げられます。
 またコンパクトにすることで掘削作業や建設費を抑えることができ、コスト削減を実現しています。
 主な違いを比較すると以下の様になります。

共同溝方式の違いのイメージ図
項目 従来型方式 次世代型方式
ケーブル作業 特殊部内作業 原則路上作業
入溝方式 一管一条方式 トラフ+ボディ管、共用FA方式による
多条方式
土被り 原則60cmの土被りが必要 トラフによる防護で浅層化を実現
(土被り10cm)
適用箇所 3.5m程度を超える広幅員の歩道が必要
幅の広い道路:
主に大都市圏の主要幹線道路
2.5m程度の狭幅員での敷設が可能
幅の狭い歩道、歩道のない車道:
都市部以外、非主要幹線道路
収容ケーブル 多条管対応可能な為、収容限界がない トラフ・ボディ管の収容容量により限界がある

 このように、次世代方式では共同溝を小さくすることで、これまでに出来なかった場所においても、様々な地域に適用できるようになりました。
 電線類の地中化は災害時でも安定したライフラインの確保や、歩行空間のバリアフリー化、美しい景観の保全に役立っています。

通過試験の大切さ

 電線共同溝でも当然のことですが、管路の中に様々なケーブルを通します。 配管が終了し、次の段階でケーブルを通す作業というわけにはいきません。 通常、管路の設置が終わったあとはきちんと配管されて管同士がつながれているかを確かめなければなりません。 この確認作業を行わないといざケーブルを通す時になってケーブルが管路の終端部まで届かないなんてことになるかもしれません。 また、あとでケーブルを布設するときに通過試験(確認作業)を行っていないと、いざケーブルが通らなくなってふたたび地面を堀り起こしてやり直す事になります。

 では通過試験はどのように行われているのでしょうか。 実際はボビンマンドレル(動物ではありません・・・)と呼ばれるような色々な管路試験器を使います。 いろいろな試験器は管の種類や大きさによって使い分けます。また、多くの自治体では試験器や試験方法が決まっている場合があります。 試験ではこれらを管路の中に通して試験器が通過するのを確認します。 もし、途中で管がつぶれていたり、外れていたりするとこれらの試験器は通過しません。 出口から無事試験器が出てきて通過を確認してからケーブルの通線を行います。

ボビンのイメージ図

ボビン(電力管路試験器)

マンドレルのイメージ図

マンドレル(通信管路試験器)